Air(Oil) Cooled / Liquid Cooled 空(油)冷と水冷
空冷のオートバイは、走行風でエンジンを冷却する必要があるため、風通りの良い位置と設計になっている。左図の場合、タンク下部分が空冷エンジンのヘッドとなっている。
走行風を頼りに冷却しているため、停車状態での長時間のアイドリングは油温が上がりすぎて危険である。
水冷のオートバイは走行風でエンジンを冷却する必要がないため、エンジンにフィンが無い上に、左記のオートバイのようにカウルで覆われていることがある。
ネイキッドタイプの水冷エンジンでもフィンが刻まれているが、これは機能を持たない「飾り」である。水冷エンジンに刻まれたフィンは総じて「浅い」フィンなので判別がつくであろう。水冷エンジンと言えども、熱を持った冷却水のクールダウンには走行風や電動ファンを必要としている。
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80年以上の歴史をもつBMWボクサーツインの場合、
右図のようにエンジンヘッドが左右に張り出しており、他の空冷エンジンよりも大変、冷却効率に優れる。空冷エンジンは外気温やエンジン稼動状態により温度変化が水冷エンジンと比べて大きいため、各部のクリアランスを広めに保つ必要性がある。
クリアランスが大きいということは、パワーが隙間から漏れる、理想的な燃焼状態が難しいことを意味する。そのため空冷エンジンは低燃費性能とパワー、環境性能を両立することが難しいとされる。しかし空冷エンジンの持つ造形美、シンプルな構造ゆえに頑丈、独特のフィーリングは今もなおたくさんのファンに支持されている。
Precision BMW Inline four.
BMW Motorrad製 水冷エンジンの一例。装飾としてのフィンは存在するが、冷却としての機能は持たない。内部に冷却水が循環しており、常にエンジン内部は一定の温度にマネージメントされている。
これにより精密なメカニカルクリアランスを設定することが可能となり、空冷エンジンでは難しかった低燃費、パワー向上、排ガス規制などの性能を高次元でバランスさせることができるようになった。
上記BMW Motorrad水冷エンジン搭載状態の写真。
世界的に稀な構造をもつ縦置きクランクシャフトエンジン。
縦置きクランクシャフト四気筒エンジンの持つ独特の走行フィールはBMW Motorradだけのオンリーワンな世界観である。それは「空飛ぶ絨毯」というような言葉で表現される。
このMotorrad縦置き水冷四気筒エンジンの設計者はJosef Fritzenwenger(ヨゼフ・フリッツウェンガー)。
実はこの設計者はあまり知られておらず、後述のボクサーツイン設計者の方が有名である。
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Legendary monster engine.
80年以上続くBMW Motorradのボクサーツイン。前途の四気筒エンジン同様の、縦置きクランクシャフトである。
元々は古めかしいボクサーツインの次世代エンジンとして登場したMotorrad水冷四気筒エンジンであったが、ボクサーツインの持つ鼓動感、乾いた排気音、走行フィールが世界的にエンスーを鷲づかみにしており、現在に至るまで進化をしながら製造されている。80年以上にも渡り、基本設計を変えずに進化しているこのエンジンは工学的・工業製品として驚異的な存在である。設計者はマックスフリッツ。
左記の写真はそのボクサーエンジンの搭載状態。他のオートバイと異なり、
明らかにそれと分かるアピアランスを持っている。
縦置きクランクシャフトのバイクだけが持つ独特の走行フィールと卓越したサスペンション(テレレバー・パラレバー)が長旅を快適にする。乗れば分かる、乗り続ければ病みつきになる、そんなフィールを放つ類稀なオートバイである。
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オイルを冷却に使う、空(油)冷エンジン
BMW Motorradボクサーツインや、スズキの一部エンジンは空油冷エンジンとも言われる。空冷エンジンとの違いは、エンジンオイルを冷却として積極的に使う点にある。
空油冷エンジンは熱を持つバルブ裏などに大量のエンジンオイルを噴射して熱を奪うように設計されている。しかし、空冷エンジン同様、エンジン自体の冷却は走行風に頼っている。
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