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【電動バイク制作過程】200V普通充電が可能になった電動オートバイ

右カウルにJ1772コネクタが差し込まれ、充電中の様子

電気自動車と同じように、街なかの普通充電スポットで充電できるように

個人的かつ合法的なルートで、お隣中国から輸入した中華電動バイク。車検上は軽二輪の区別で、実際的なパワーとしては125cc程度です。

大変静かで、まったく故障せず乗り回せているので、なかなか道具としての真価を発揮している、この電動バイクなのですが、困ったことに…やはり現代の電動バイクとしてのウィークポイントである航続距離が短いこと、短いこと。

新品バッテリーではどうやら100kmの航続距離を誇る模様ですが、私の住むエリアは山あり 谷あり、丘陵あり峠ありの、地形に富んだ場所ですのでおそらく死ぬまで100kmの航続距離を実証することはできません。アメリカのような広大で起伏の少ない、平坦な場所であれば達成されるスペックかと思います。

さて、入手した当時からこの電動バイクを、電気自動車のインフラである200V普通充電に対応させたいと願っていました。願うだけでなく、さまざまな資料を集めて読み込み、海外フォーラムも覗いて、実現可能であるという手ごたえを感じ始めたのが、2022年11月頃。

AliexpressからJ1772インレットを購入¥6000程度なり


こちらが商品画像。60Vをゆうに超える、200Vという強電を扱うパーツのため、コルゲートはオレンジ色になっている。これはJISで規定されている。

(1)エンクロージャ内を除いて、高電圧用ケーブルはオレンジ色の外部被覆により 識別されていること。
(2)DC の電気ケーブルにはプラス側に赤、マイナス側に黒の被覆を施すこと。た だし、高電圧用ケーブルであってオレンジ色の被覆を施している場合にあっては、 オレンジ色被覆の端部等に赤若しくは黒のマーキングを施せばよい。

84V 30AのリチウムイオンバッテリーチャージャーもAliexpressから購入

充電器は平たく言えば、アンペア数が多いほど正義。ということで、我が電動バイクのリチウムイオン電池は72Vの駆動電圧だが、充電にはその電圧よりも高い電圧をかけないと充電できないという物理法則があるので、適合は84V充電器で、かつ、リチウムイオン電池用。充電器の種別を間違えてしまうと、バッテリーがお釈迦となってしまう。

例えば、使っているのがリチウムイオン電池なのに、充電器は同じ電圧でも鉛バッテリー用なんかを繋いでしまうと、アウト。

ということで、Aliexpressで購入したこちらの充電器は84V 30Aという立派なスペック。お値段3万円行かず。我が電動バイクのバッテリ容量は50Ahなので、単純計算で2時間程度でフルチャージできるということ。素晴らしい。

もっと上のスペック…例えば、84V 40Aとか、50Aモノの充電器はないのか探してみたが、現実的な商品は見つからなかった。おそらく、200Vから取れる力率の限界が30Aなんだと予想。

充電器の搭載位置をどうするか?という課題

ほとんどの人は見たことがないであろう、電動バイクの心臓部。

このように、本当にただデカいバッテリーが鎮座しているだけです。ガソリンのエネルギー密度を考えれば、リチウムイオン電池なんて月とスッポンのようなものだが、電動バイクというカテゴリで考えれば、このサイズで100km近くツーリングできるのは、もはや奇跡。リチウムイオン電池は世界を変えた、革新的、というのは嘘ではない。

さて、84V 30Aという立派なスペックを有する充電器はコンパクトではない。高電圧・大電流を扱うデバイスは、必然的に大きくなってしまうもの。これを、バッテリー室にどう収めるかいろいろと試行錯誤した結果、バッテリーサイドの空間に縦置きすることに決定。

ほんの1,2年前までは立派な電動工具たちも揃っていたが、ミニマリストに転身したため、カインズのレンタル工具サービス「Cainz Reserve」を利用して借用。穴あけ対応。ちなみにドリルビット類の消耗品は自前で用意。

今や工具すらもシェアリングの時代。

きれいに位置が決まった。

本当なら、ここにゴムブッシュを噛ませて、フレームの振動を精密機器である充電器へとできるだけ伝えないようにしたいところだが…年末で寒いし、時間もないし、すぐに日が暮れてしまうので割愛。

完成に近い図。もはや製造元が実用性のために取り付けた取手が意味を成していない。まあ、いいでしょう。それにしても上部空間が広い。バッテリーも上方向で容量UPできそうな拡張性を感じさせる。

J1772インレットの設置場所


ここから、いきなり写真が少ない。理由としては、撮影に使っていたスマートフォンが故障し、写真データがクラウドにバックアップされていなかったため。

J1772インレットは、最終的に右カウルに設置。あちこちにフィッティングしたが、まずカウルの曲面は物理的にボルト固定できないし、リアの空間を見ても、巻き上げた泥で絶縁不良になりそうだし、固定させるためのブラケットもないしで、消去法で右カウルに決定。

この電動バイク、面白いことに全く意味のないタンクキャップがついている。実際にメインキーで開くし、開けばモーターコントローラがフレームに固定されているのを穴越しに見ることができる。

このタンクキャップにJ1772インレットを取り付けたかった気もするが、J1772インレット自体の奥行きがあるため、穴奥にいるモーターコントローラに干渉不可避。いろいろとうまくいきませんね、この世の中。


最終的なバッテリー室は画像の通り。怪しげな黒ビニールテープがたくさん。回路的にはボルト締めされていて、コードの癖も考慮されている。スカスカな空間に助けられた形だ。本当ならば、アンダーソンプラグで一発接続したいところだが、バッテリー&車体のアンダーソンプラグがバカでかく、このサイズのプラグが入手困難。

EVSE認証問題を回避するための回路を内蔵


最近、イオンやイトーヨーカドー、ジョイフル本田などでリプレイスされている200V充電器は、NEC製のものが多い。

道の駅にあるような、ちょっと古めの充電器とは違い、このNECの充電器は一癖ある。

より安全性を向上させるためか、以前は制御として使わなかったJ1772の一部端子を使って、車両と通信をして200Vを出力させるかどうか、やっているのだ。

私がAliexpressで購入した、J1772-コンセント変換アダプタは、道の駅などに設置されている古いタイプの充電器では問題なく動作した(=200V出力してくれた)のに、NEC製の充電器に接続すると、うんともすんとも言わない。充電器本体の「⚡接続」というインジケータが全く光らない。

ということで、あれこれ調査して、部品を調達して、EVSEによる認証問題を回避する回路を作成した。これも残念ながら、写真データがバックアップされていなかったので、ここで皆さんにお見せできる写真がまったくない。

J1772の認証問題については、こちらの記事で詳しく書いている。

正式運用開始!電動バイクが公共EV充電スタンドでチャージOK!

結論から言えば、自作回路は上手に動作した。電動バイクをNEC製の充電器に接続すると、「⚡接続」インジケータが点灯して、しっかりと200Vを出力して充電できる。

【最後に】課題は充電時間と航続可能距離のバランス

街なかに豊富に存在する200V普通充電スポット。これを利用できるのは、航続可能距離が短い電動バイクにとっては大きなアドバンテージ。しかし、同時にこの記事:電動オートバイでたどり着けなかった藤沢でもお話しているように、普通充電器に対応できることと、インフラが電動バイクを受け入れられることは、また別問題という課題が浮き彫りになった。

多くの普通充電器は、立体駐車場の中にあるか、コインパーキング上にあるもので、これをオートバイがアクセスしていくことは非常に困難。そもそもコインパーキングは利用規約上で明確にバイクの利用を禁止している。立体駐車場も同様に、床面が滑りやすく進入禁止だ。

個人的に有力視しているのは、道の駅やテーマパークにある普通充電器の存在。こちらは、オートバイでもアクセス可能なことが多く、施設の性質上も、充電時間とともに娯楽を堪能できる。ただし、設置数は少ない。

現実的に電動バイクでアクセスできる普通充電器が少ないということは、電動バイク自体の航続可能距離を向上させないと、当分は利便性が向上しないということになる。いくら周囲に普通充電器があっても、電動バイクでアクセスできないのであれば、自身のバッテリーパワーを使って走っていくしかないのだから。

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