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根強い大排気量至上主義

愛車BMW R1200GS-ADV

 夢見る中免小僧は嫌だった

大型自動二輪免許を取得した理由は、”BMWのモーターサイクルに乗りたかった”からです。なので、大型自動二輪車の免許を取得してすぐに、R1100Rロードスターというモーターサイクルを手に入れ、乗り回していました。
当時の愛車BMW R1100Rロードスター

大型自動二輪車の免許は、教習所によってはいきなり取得をすることが可能です。しかし、私が通っていた教習所では普通自動二輪車免許を取得しなければステップアップできなかったので、当時は普通自動二輪車免許を取得して、大型自動二輪車免許取得までのつなぎとして、ニンジャ400を新車購入して乗り回していました。
ニンジャ400と山中湖
現実に大型自動二輪車の免許が取得できると、ニンジャ400を下取りに出してBMW R1100Rロードスターとほどなくして同時にZZR1100の2台体制になりました。

そこから私はずっと大排気量至上主義でいました。

もともと、自分の所有するものはランクの高いものだったり、ステータスに優れるものにこだわっていましたので、モーターサイクルの中でも別格であるBMW Motorradに乗ることや、二輪の免許も”排気量制限のない大型免許取得”というのはごく自然な流れであったでしょう。

小排気量は格落ち

GV250


一時期、経済的な理由で250ccのオートバイに格落ち(※当時の私の心境からすれば、まさに”格落ち”という表現が符合します)した際に、心なしかどこのツーリングで走っていても、大型バイクに無理やり抜かされたということがありました。

これは大排気量至上主義であるのにも関わらず、現実に乗っているオートバイが小排気量であるということから来る消極的な心持ちが、ツーリング中に起きるあらゆる事象を歪曲的に捉えていたからではないかと思うのです。

その時に大型バイクを乗っていれば、無理やり抜かされたことに関しては、

”急いでいるのであろう”、

”確かにこの信号待ちで抜かしたくなるほど渋滞していたもんね”

といったような考え方で処理できたでしょう。

こういった感覚は、今日に至るまで私の中を支配的にしています。

なぜ大排気量至上主義者がスーパーカブに?

信州ビーナスラインとハンターカブCT125


現在進行形で価値観が変化しているため、ここに記している表現は正確ではないかもしれませんが、2022年5月6日時点での感覚をもって書いておこうと思います。

資金面とミニマリスト

千里浜なぎさドライブウェイにてハンターカブCT125


大排気量至上主義者が、まったく縁のないスーパーカブに魅力を見出した理由として、結論から言えば金銭面と時間です。
確かに、期間従業員として豊富な貯金資産があり、毎月計画的に貯蓄をしているためにお金には困っていませんし、年間休日カレンダー通りの出勤のために1年先まで時間が読める職場で働いています。これは負け惜しみではなく事実です。
現実には大型バイクに乗れる免許を所有し、それを新車で買えてベストコンディションで維持できるお金も持っています。
しかし、最近の価値観がゆっくりですが大きく変化したことが原因で、スーパーカブに目を向けることになり、結果的にHondaGoのレンタルサービスでゴールデンウィークをフルにレンタルしてツーリングに使い倒す行動を起こしました。

ゆっくり大きく変化した価値観「自分」「お金」と「時間」

K1200RS


思えば、長らくBMW Motorradのオーナーをしてきて総合的に感じたことを記せば、
  • メンテナンスコスト(時間とお金)が掛かりすぎる
  • バイクから降りて散策する時間がない
という2点が思い起こされます。

走っている時間よりもメンテしている時間のほうが長い?

メンテナンスコストについてはディーラーへの点検費用を抑えるために自分で週末DIYをしていたこともありました。工具を買い揃え、サービスマニュアルも入手して、インターネットの先人たちの情報を参考にしてマシンのメンテナンスをしていました。
よく考えれば、ベストコンディションを保つためには定期的なメンテナンスが欠かさず、つまるところ1年のうちに数回はマシンのメンテナンスのために時間を割かなければならないということで、これはツーリングができない日が存在するということを意味します。

工具が引っ越しに邪魔、場所を取る

ZZR1100とSRX-4


期間従業員のために最大でも2年11ヶ月で現在の職場を去らなければならない運命にあります。3年に1回は引っ越しをすることになるということで、BMW Motorradのために買い揃えた工具たちは、普段の収納場所においても場所を専有しますし、何より引っ越しの際に重量があり過ぎて邪魔でした。

思い切って工具を売却、ディーラー任せにしてみた結果

R1150RSをDIYメンテナンス


前回の会社との雇用契約が期間満了となり、引っ越しの際に思い切ってBMW Motorradのメンテナンスのために買い揃えた工具たちをすべて売却しました。
その後、新たにBMW Motorradのマシンを手に入れて、ここからはすべてディーラー任せにしました。
半年ほど自営業として田舎暮らしをしながら、点検整備に時間を取られることなく気ままにツーリングをしていたのですが、皆さんもお察しの通り、ディーラーへの点検費用が嵩みました。
かといって、当時の自営業の私は、寝たい時に寝て、起きたい時に起きて仕事をするという自由なスタイルに身を委ねていたために、ディーラーへの点検費用の高さといっても、以前のように自分で点検をするつもりもなく、お金だけが嵩んでいったわけです。

大型バイクだと、そういえば、走行時間ばかりが長かった

奥多摩にてタンデムライダーの目線


大型バイクに乗っているライダーなら共感を得られるかもしれませんが、走り出すと快適ゆえにちょっとした脇道や良い景色、琴線に触れるようなお店を見かけたとしても、気軽に進路変更をしたり、Uターンをしたり、停車することはほとんどないでしょう。
さらには、高速道路に乗れるということで散策ツーリングではなく、目的地へ効率的に到着するためのツーリングに変化し、その途中に出会えたであろう景色などには交わることがない状況になるのです。

F650GSが寄り道の楽しさを思い起こしてくれた

F650GSシングル


当時、そのような大型バイクのツーリングスタイルが嫌で、気軽に乗れるマシン、さらにはメンテナンスコストを抑えるために大型の単気筒ということでチョイスしたのがF650GSでした。気負わず乗り降りできる車格と、ボクサーエンジンのような面倒なメンテナンスを頻繁に必要としないF650GSは、ツーリング中の寄り道による新たな発見や楽しさをもたらせてくれました。

さらなるコスト低減とツーリング価値観の変化

脇道に逸れるからこそ、見える風景がある


お金を保全し、忘れかけていたツーリングの楽しさを再発見するために最終的に到達したのがスーパーカブでした。
この記事を書いている2022年5月6日時点では、スーパーカブは手に入れておらず、私にとっての人生のカブ系乗車体験はHondaGoでレンタルして乗り回しているハンターカブCT125のみです。
ほんの数日前にはこのレンタルしたハンターカブCT125で総距離1,300kmにも及ぶ長大なツーリングを行い、カブ系の信頼性、堅牢性、ツーリング性能を身を以て体感してきました。
今や枯れた技術がカブ系の”信頼性・堅牢性”の根幹を成し、ユーザーの多さと長年のベストセラーゆえのパーツ入手性、メンテナンス体制がさらにツーリングマシンとしての適性を作り上げているのです。

自分軸という価値観の変化

道志村と富士山を望む


他人から見てどう思われるか?という考え方は時々には大切ですが、趣味の世界においてこの考え方を持ち込むと、際限なくお金がかかり続けるハメに陥ります。私はゆっくりではありますが、現在進行形で他人と自分の軸を切り離すことに成功しつつあります。
大型バイクを持っていたという経験、現在も大型バイクを運転できる二輪免許を保有しているという自覚をわざわざ、他人に知らしめる必要がなくなりつつあるのです(このブログに書いていますが)。
他人が自慢にしそうなことを、あえて言わないという秘密主義のような、一種の変わった意識と矜持、贅沢のようなものが、今この私に芽生えつつあるのです。
これは、他人依存や他人からどう見られるかといった価値観が薄れ、自分にとってベストな選択は他人の評価を必要としない、という”完全自分主義”になりつつあることを意味しています。

使えるのに使わない贅沢

山梨の湖にて


大型自動二輪車の免許を保有しているのに、大型バイクには乗らない──これは一種の贅沢であると感じています。そこになぜ、贅沢を感じるのかと言えば、まだはっきりと言葉で説明するのが難しいのですが、”使えるのに、あえて使わない”という一種の余裕のようなものが贅沢さを感じさせるのだと思います。
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