フルコンバ

72V電動バイクで名栗湖から山伏峠の手前まで──早朝ツーリング

 

プロモーションビデオのような世界観を現実に

電気自動車や電動バイクのプロモーションビデオを見ると、どれも郊外の大自然の中を駆け抜けるようなイメージ映像が多いことに気づく。

電気自動車=エコという大衆の認識に沿った構成ゆえだと思うが、電気自動車がエコかどうかはさておき、確かに限りなく無音で走るモビリティは、大自然と相性がいい。

なぜなら、大自然には木々のささやきや鳥のさえずり、川の音といった人間が本質的にリラックスできる音で溢れており、その環境へノイズを限りなく出さずに入っていけるのは電動化されたモビリティでしかあり得ない。

今回のツーリングも、音もなく駆け抜ける輸入電動バイクで、自然に溶け込んでいく感覚を味わうものとなった。

いくつもの激坂(峠)を越えると飯能市に入る。

山間部にある集落の中を、静かに駆け抜けていく。

山間の喫茶店「山伏BASE」

最初に目指すは、山伏峠の手前にある山伏BASEというお店だ。

ここは少し高台にある古民家を活用した茶屋で、多くのサイクリストと知る人ぞ知るバイク乗りに愛されている。

というのも、大半の人は山伏峠のワインディングに気を取られ、このお店を通り過ぎてしまうのだ。

以前勤めていたホンダ狭山のバイク仲間で貸し切り状態で楽しませてもらったことも

2,3年ほど前は車の駐車場として機能していたが、駐車場入口が急すぎるということと、旋回スペースがあまり取れないからか、現在はオートバイとマウンテンバイクのみの駐車場となっている。

山伏BASEは夫婦が経営しており、ホスピタリティは抜群で居心地がよい。

いつ行っても、ホスピタリティに溢れ、さらに周辺の自然で癒やされる。

新型コロナウイルスが流行する前までは、古民家の内部で喫茶をすることが可能だった。

私がまだエンジンバイクのBMW Motorradシリーズを乗り回していた頃で、お気に入りの本をパニアケースに入れて、山伏BASEまでのショートツーリングを楽しみ、コーヒーとお汁粉を堪能しながら、読書をする…そんな週末の過ごし方をしていた。

現在はまだまだ新型コロナウイルスが落ち着かないということで、開放感あふれる店外での喫茶となる。

写真のように、外のテラスからは名栗の山々を見渡しつつ、新鮮な空気の中で山伏BASEの美味しい食事を味わうことができる。ちなみに奥に見える黒いオートバイが、当時乗っていたBMW K1200RSだ。

山伏BASEのマスターは、自転車とバイクに理解のある方で、それは砂利の駐車場に置かれたサイドスタンドプレートから分かる。

砂利の上をバイクで駐車するのは、サイドスタンドが食い込んだり、アンバランスになって転倒する恐れがあるが、山伏BASEの駐車場には無数のサイドスタンドプレートが置かれているので、それを下敷きにして駐車してあげれば良い。なんと素晴らしい配慮だろうか。

名栗杖と、てるてる坊主

さて、名栗集落には面白いものを見つけることができる。

なぐりづえは、登山で使うステッキだ。

私も趣味で登山をするので、ステッキの有無で身体の疲労が全く違うことを知っている。

今風に言えば、なぐりづえは「無料レンタル杖」といったところだろうか。

私は「なぐり」が「名栗」から来ていることを知っているので、さほど意識にはないのだが、知らない人からすると「殴り」のイメージが有るようで、この杖をみるとインパクトを感じるらしい。

狙って命名したのかは…分からない。

名栗集落は山間部なので、周囲には登山を楽しめる山々がある。

代表的なのは棒ノ折山で、登山が趣味の人はぜひ踏破してほしいと思う。

途中で鎖場があって、日帰りで行ける山でありながらも、ちょっとした上級の登山が楽しめるのだ。

もう一つは、てるてる坊主。

注意深く民家の軒先を見ていくと、黄色いてるてる坊主が吊り下がっているのを見かけるだろう。

黄色いてるてる坊主は飯能ならではらしく、確かに一般的なてるてる坊主といえば白ではないだろうか?

この黄色いてるてる坊主は、民家やお店、宿、公共施設などの人目につくところに吊るしてあり、子供が危険を感じたときに駆け込める場所としての目印となっている。

いわば、子供110番の家を意味している。

なぜ、名栗集落の子供110番の家の目印として、黄色いてるてる坊主になったかというと、そこには悲惨な過去の事件が関係している。気になる人は、ご自分で検索してほしい。

ツーリングは、何も気持ちの良いことだけではない、ということを教えてくれる。

見たくない現実を突きつけられ、考えさせられるのもツーリングなのだ。

車と違って、オートバイは剥き出しで走るモビリティだ。

だからこそ、肌で感じることも多い。

鉄の箱に閉じこもって、空調と音楽で満たされた車とは違う。

より小回りが利くからこそ、あえて最短距離ではなく遠回りをして見ておくべきものがあるだろうし、自在にスピードが出せるからこそ、あえてゆっくり走って、見落としたものがないかどうか…見ておく必要があると思う。

大切なものは、メインルートから外れた場所にこそ、存在すると信じている。

ライダーの憩いの場、有間ダム(名栗湖)

山伏BASEから来た道を戻り、有間ダムにステアリングを向ける。

数々のワインディングを電動バイクで走ってきて、電動バイクならではの走り方に慣れてきた。だから、ちょっと今日は気分が良い。バイク乗りは単純な生き物なのだ。

溢れ出るトルクに押されながら坂を登っていくと有間ダムがある。

今日もいつものようにライダーが多い。

それぞれのライダーが、愛車を対面にする形で腰を下ろして、自由な時間を過ごしている。

今日はそのまま走り続けたかったので、そのまま休息スポットを通り過ぎて、有間ダムを一周してきた。

奥の方では、熊鷲を撮影するカメラマンたちがいて、どのカメラもバズーカ砲のようなどデカイレンズをつけて、山の方を向いている。どのレンズも同じような方向に向いているので、まるでBS/CSアンテナのようで面白い。

この時点で、多くの坂を登ってバッテリーを消費したため、帰りは少し遠回りをしてでも坂道の少ないルートで帰ることを決定。

名栗集落を過ぎ、山王峠を経由して岩蔵街道へ。

七国山の山中で

岩蔵街道を走り、オソキゴルフセンターを過ぎたところに登山道の入口がある。

電動バイクを日陰に預け、カメラを持って少し散策をする。

もともと今日は雨予報が入っていた。

しかし、嬉しいことに天気予報が外れて晴れている。

七国山のふもとに足を一歩踏み入れると、そこには眩しいほどの新緑と、優しい木漏れ日が広がっていた。

ガソリンバイクから電動バイクに移行して、ツーリングのスタイルが変化した。

より歩いて散策することが増えたのだ。

電動バイクは現時点では、自宅充電が前提となる。

だから充電拠点を中心とした半径50km圏内が、ツーリング先となるゆえに、より慎重に行き先を考えるようになったし、その土地の観光地や興味深いスポットについて調べて、訪れるようになったのだ。

これは私がこのブログで唱えている、「マイクロツーリズム」の考え方そのものだ。

もともと私は大排気量のBMW Motorradのモーターサイクルを乗り回していても、ツーリング先は近場がメインであった。

ライフスタイル的に、朝早く走って、昼前には帰って身体を休めておきたいのと、住んでいるところがいずれもバイク乗りにとってはアクセス良好な場所にあった、ということも関係している。

だから、私の所有するバイクを電動化した際も、航続距離の問題については”問題”にはならなかった。

それよりも、充電環境をどうするかが問題であった。電動バイクの充電環境については、また

別の記事でご紹介したいと思う。

さて、森林の中に身体を預けてリラクゼーションできたところで、再び電動バイクのもとに戻る。

まだバッテリー残量に余裕があるので、もう少しどこか走りたかったが、昼時が近いのでそのままガレージにステアリングを向けた。

次はどこへ行こう?そんな風に考えながら、過ごす週末のひとときが幸せだ。

\ この記事をシェア/
Image

この記事を書いた人
Author
Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit, sed do eiusmod tempor incididunt ut labore et dolore magna aliqua. Ut enim ad minim veniam, quis nostrud exercitation ullamco laboris nisi ut aliquip ex ea commodo consequat.

フルコンバ

週末は森にいます