YAMAHA E01電動バイクで大丹波へ──仕事終わりに気軽に走り出せるのは電動ならでは
暖気なしですぐに走り出せる電動バイク
走りたいと思い立ったら、すぐに走り出せる。
暖気は不要、日頃からのメンテナンスも基本的に不要なので、電動バイクは走りたいという気持ちに遅延なく応えることができる。
いつの年齢になっても、金曜日は嬉しい。
土日休みじゃなくとも、休みの日の前日は気持ちが舞い上がるものだ。
今回、梅雨の中の晴れだったのと、金曜日ということで仕事終わりにふらっと山奥へツーリングに行ってきた。
吉野街道を走り、翌日に行く吉川英治記念館の事前調査をしておく。
場所がわかったところで、そのまま山奥へステアリングを向ける。
多くのライダーが通り過ぎていくだろう、大丹波方面に入っていく。
この近辺は植林された山が多く、規則的に並んだ木々が目立つ。
釣りや沢登り、登山が趣味な人なら、大丹波方面は聞き慣れているかもしれない。
この山奥で流れる清流は、大丹波川といって東京都西多摩郡奥多摩町にある標高1363.3mの山である、「川苔山」が源流だ。山奥に入っていくほど、電動バイクの無音さが際立ってくる。
無心になってE01を右に左に倒していくと、時々鳥のさえずりや川の音が聞こえてきて、今までエンジン音がかき消していたんだと気づく。
オートバイに乗ることで、ライダーは自然に溶け込んでいく感覚を味わう。
しかし、電動バイクに乗ると、エンジン車以上に自然に溶け込んでいけるのだ。
人気のない川沿いのキャンプ場をすぎると、ワサビ田を見つけた。
おそらく、このワサビ田はWASABI EXPERIENCEさんのものだと思われる。
ワサビは清涼な水が流れているところでないと育たない。
ワサビの根から毒素が出ており、その毒素がほかのワサビに悪影響を与えてしまうために、流れのあるキレイな水が必要なのだ。
ワサビは漢字で山葵と書くが、澄んだ水の冷涼な土地を必要とするワサビと奥多摩の山は良い相性だろう。
田舎の鄙びた夏を思い出すバス停
途中で、「蟬沢」(せみざわ)という変わった名前のバス停を私は捉えた。
電動バイクのE01だから、自由自在に停まれる。停車中も音がしないから、すぐに周囲の雰囲気を互換で捉えることができるし、なによりエンジン音に急かされないのがいい。
古びたバス停の看板と、蝉の声を聞いていると、どこか遠くの田舎町で夏の終わりを過ごしているような、郷愁を感じさせる感覚に陥った。
どん詰まりの大丹波
そのまま細い一本道を進めていくと、やがて民家が途絶えて林道に入る手前で通行止めとなる。
この林道は林道大丹波線と呼ばれており、ちょうど目の前にある山の向こう側が棒ノ折山があり、有間ダムがあるのだ。
どん詰まりのところで、ツキノワグマの目撃情報が書かれた看板が目に入った。
電動バイクのE01はそもそも、何も音がしないので、山の動物達との距離が縮まりそうだ…。
聞こえるのは大丹波川の清涼な川の音だけ。
ツキノワグマが棲息していると考えただけで怖くなって、実際に写真を早々に撮影してヘルメットを被った。
その瞬間に、どこからか…ガサっという音がしたのを合図に、私は冷静かつ急いでアクセルを開けて、どん詰まりを後にした。
来た道を下っていくと、ねむの木を見つけた。
ねむの木は、その名の通り「夜になると眠る木」である。
ねむの木はこの時期に花を咲かせる。良いタイミングで見かけることができて嬉しい。
無人の駅、川井駅
再び、青梅街道に合流したところで、すぐに左に折れて坂を登っていく。
坂を登っていくと、JR青梅線の川井駅がある。
陽が傾き、さきほど目にした古びたバス停の看板を見たこともあり、無人駅で郷愁を感じようと思い立って立ち寄ってみた。
タイミングよく、4分後に電車が来るということで休憩がてら周囲を散策する。
とにかくこの駅は小さい。山の中にぽつんとある駅だ。
無人改札を出ると目の前には民家があり、面白いことに小径が駅直結となっている。この家の主は徒歩0分で電車に乗ることができる。なんとも愉快な発見をした。
蝉の声と電車が遠ざかっていく音が聞こえる。
夏は始まったばかりなのに、もう心は夏の終りのような感覚になっている。
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