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エンジンの鼓動を日常に持ち込む──スターリングエンジン


 

スターリングエンジンをずっと見ていると、ピストンの動きがクランクシャフトによってフライホイールを回転させる、一連の緻密で、精密で狂いのない統率された動きに目を奪われ、その後に単気筒のオートバイの陰影が重なってくる。そして、ランプの灯火を息でふっと消したあとに、冬の匂いとオートバイへの愛が呼び起こされるのだ。 

今、この記事を書いているデスクの目の前にはカタカタ…と健気に動くエンジンの模型がある。

私がお世話になっているAliExpress、通称”アリエク”で買ったスターリングエンジンの模型だ。

スターリングエンジンは”夢の機関”

詳しいスターリングエンジンの解説はWikipediaに譲るとして、簡単に言えば熱源があれば高効率で動いてくれるシンプルなエンジンということだ。

今回アリエクで購入したのはシングルピストンタイプのもの─いわば単気筒、シングルエンジンと言えるもの。付属のアルコールランプやキャンドルライトを所定の位置に置いて、しばらく熱しておく。1,2分程度経った時点で、クランキングをしてあげると元気に回ってくれる。

この健気にカタカタと震えながら動くスターリングエンジンを見てすぐに思い出すのは、あのメルセデス・ベンツの創業者の一人である「カール・ベンツ」が世界で最初に開発した「パテント・モトールヴァーゲン」のこと。

このスターリングエンジンを横向きにすると、パテント・モトールヴァーゲンっぽい感じになる。

振動対策はダイソーの耐震ゲル

このスターリングエンジンを購入してから、毎日のようにランプを灯して回している。いわばエンジン好きの一種の癒やしのようなものだ。だが、いかんせんインテリアとしての製品なので、工作精度はそれなりで、それゆえの振動が大きい。デスクに置いておくとスターリングエンジンの土台自体がガタガタ言い出した上に、一定方向に動いていってしまう。

そこで考えたのが、ダイソーで売っている耐震ゲルだ。これはエンジンで言うところの「エンジンマウント」。ダイソーの耐震ゲルはウレタンエラストマーといった素材で出来ていて、触るとブニブニしている。いかにも振動を吸収してくれそうな印象だ。

この耐震ゲルをスターリングエンジンの土台に貼り付けてデスク上に置いてみると、いい塩梅。耐震ゲルの貼る位置や重ね方によって振動が変わる。ちょっとこの挙動変化が面白い。きっと、車やオートバイのエンジニアは車体へエンジンを搭載する時に、どういった感じでエンジンをマウントするのか?苦労したことがほんの少し垣間見えた気がした。

スターリングエンジンを見ると単気筒のバイクが気になってくる

ある意味で、この記事の結論でもある。

スターリングエンジンをずっと見ていると、ピストンの動きがクランクシャフトによってフライホイールを回転させる、一連の緻密で、精密で狂いのない統率された動きに目を奪われ、その後に単気筒のオートバイの陰影が重なってくる。そして、ランプの灯火を息でふっと消したあとに、冬の匂いとオートバイへの愛が呼び起こされるのだ。

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